「ただ、このフレームを選んだ理由があります。」
「自分が限定解除をして最初に乗ったSRXです。
限定解除の祝いに親父から貰ったバイクです。」
「彼女を乗せた最初のバイクでもあります。」
どうしても、これでなければならない理由は 其々にあるだろう。それは、部品の数ほどに ある。
他人にとってどうなのかは、どうでもいい事。本人にとって大切なものであるなば、それでいい。
その二人、この秋に結婚する。互いに選んだパートナー。多分オートバイが仲人になるだろう。
ウェディングドレスとタキシード。見慣れた仲間と、思い出のオートバイも、お色直しで出席する。
彼と彼女のオートバイは、揃いのYAMAHA SR-X。フレームから仕上げ、其々の個性を演出。
その仕事を依頼、正直嬉しかった。そんな晴れ舞台に、SAMSON`選んでくれた事が何よりも。
部品一つ一つは、何でもない一日と良く似ている。繋がる事で意味を繰り出し、機能する事が。
毎日がきっと、意味を持つだろう。カスタムと結婚にゴールがないのは、毎日がスタートなのだ。
子供が物心を持ち、何時かその思い出のオートバイの話を。それはどんな本より、素敵な筈だ。